努力無限通信 VOL.5
テイケイ株式会社トライアスロン競技部
小原 工
ALOHA!みなさんお元気でしょうか?私の方はアイアンマンハワイ世界選手権大会より帰国したばかりでちょいとバテております。今年も満月に一番近い土曜日の10月21日に行われ、私は2年ぶり4度目の出場でした。結果はご存知の方も多いかと思いますが総合72位(プロ男子85名中48位)と目標には遠くおよばない結果に終わりました。
日本人では河原選手(チームケンズ)がトップで9時間02分02秒、49位(プロ40位)、2番目が浜野選手(スタイルバイク)で9時間08分11秒、59位(エイジ35~39歳で6位)、3番目が私で9時間11分52秒でした。(S 53:36 B 5:06:25 R 3:06:27)
ハワイへの出発2日前、ハワイ島沖を震源としたマグニチュード6.6の地震があり大会への影響が心配されたが、問題なく大会が開催されることを確認しハワイ島コナへ向かった。現地では地震でコース上に転がっていた岩や石の除去作業が行われていたらしい。
関空からのフライトは2時間遅れたものの、ホノルルを経由しコナまでは10時間ほどで無事到着。飛行機を出た瞬間、暑さで着ていた長ズボンを早く脱ぎたくなった。
予想通りの暑さ!大会当日も暑くなってくれよ!と願ってコナの地に降りた。
今回はチームからは私と練習生の中山選手(女子エイジ18~24の部)が参加、サポートで今年宮古島で女子2位の成績を収めた久保田が来てくれた。彼女は残念ながらハワイへのキップは取れなかったので来年の勉強のためと食事係として監督に指名されたからだ。私はどんな食事が出てくるのかちょっと心配であったが、なかなか上手に美味しいものを作ってくれたのでレースに向けて集中でき感謝している。花嫁修業にもなったかも!?ちなみにレース当日の朝は3時に起きて、おにぎり3個、もちの入った力うどん2杯、きなこ餅、梅干し、フルーツを食べてレースに備えた。
レースには世界各国で行われたアイアンマンの予選(プロ部門、エイジ部門)を勝ち抜いた選手約1800名が参加。その中にはいろいろなハンディーキャップを持った選手も含まれている。もちろん制限時間は17時間でみな同じ。片腕がなく片手クロールで3.8kを泳ぐ選手、両足が不自由な選手は特殊なバイクを手で漕ぐのだ。その他にもいろいろなハンディーを持った選手が出場しているが、見ているだけで人間の強さを感じ、勇気を与えてくれる。数年前の練習中交通事故で両足を不自由になったマーク・ヘレメンス(元ハワイ6位入賞者)もまたさらに上半身がパワーアップして参加していた。
さて、レースの方はプロ(男女で約140名)がエイジの選手より15分早く、6時45分にスタート。昨年他界した親父も見守っていてくれる!「自分を信じて、力を出し切ること」を誓って泳ぎだした。外側からスタートした選択がうまくいきバトルもなく抜け出せた。力まず楽に泳ぐことに意識を集中した。数百メートルのところで前には5人ほど、先頭も見える位置。このまま行こうと思ったが、横に船が着きテレビカメラがこちらを向いているので、思わず集団の前に出てしまった。こうなったら行くところまでいくしかないのでペースを上げた。上陸まであと数百メートルのところで先頭に追いつき集団となるがさらにペースが上がる。ここまできたら昨年の田山のように先頭で上がりたかったが3秒およばず4位でスイムを終えトランジションへ。最高の展開。このまま速い流れに乗っていければ・・・。
バイクにまたがりスタートは上々。まわりは優勝候補の選手ばかりだ。15キロあたりを過ぎ、少しきつい坂を上りクイーンハイウェイに入る。そのあたりから後続選手にどんどん追い抜いて行かれついていけない。少し焦ったが、自分のペースを守ることに集中した。「トレーニングはしっかりやってきたのだから、徐々にペースはつかめるはずだ」と自分に言い聞かせた。それでも後続の選手に抜かれていく。その中にはともにシドニーで戦った選手やアテネに出場した選手が何人かいた。やはりアイアンマンに挑戦してきている。アイアンマンに魅力を感じ私と同じ思いをもって挑んでいるのかもと思った。いつものコナウィンドは吹いていないが折り返しまではほとんど向かい風だった。
100キロ地点ハウィの折り返しを過ぎると追い風に変わりみんなペースが上がる。130キロ地点の坂を上がっていくと日本語の応援が聞こえてきた。「オバラ!オバラ!」とコールしてくれていた。オミノ(シドニーの時に一緒に涙を流し、お世話になったメカニック)さんとその仲間たちだ。嬉しかった!応援してくれているたくさんの人たちのことを思いながら残りの50キロを踏ん張った。
バイクでは時折雨が降ったりしていたが、マラソンに入るといつものコナの暑さが戻ってきた。上着のみを着替え、スワンズのサングラスをかけ、TNIのフードつきキャップをかぶり「さあここから挽回だ!」ともう一度気合いを入れ、前半から4分5秒~10秒あたりのペースで一人また一人とパスしていく。5キロの通過19分50秒、10キロ通過40分25秒とまずまず。坂の手前の15キロ通過1時間01分30秒と少しペースが落ちた。ここから踏ん張りどころと思うが徐々に足が前に出なくなり、抜いた選手にまた抜き返される。次のエイドでグリコのBCAA粉末を水で流し込む。20キロ通過1時間24分45秒。CCDが置いてあるスペシャルエイドまでは我慢、我慢と水とコーラを補給した。30キロ過ぎペットボトルに入れておいたCCDの粉末に冷たい水をいれ、走りながら溶かして補給すると元気が出てきてペースが上がった。抜き返された選手をもう一度抜き返しゴールまで力を振り絞った。9時間11分52秒は今シーズンのベストではあるがコンディションの良かった今年のコナでは通用しなかった。
優勝はノーマン・スタドラー8時間11分56秒、そしてエイジのトップはプロを押しのけ20位にドイツの選手が入り8時間41分02秒となった。バイクの高速化とヨーロッパ勢の台頭でますますハイレベルになるアイアンマンを感じた。日本人選手がアイアンマンで世界と戦っていくためには相当な覚悟、努力、研究が必要であると思う。その力になれるようこれからも努力を続けます。
結果は良くなかったですが、2年ぶりのコナも最高でした。みなさんもハワイを目指してみませんか?世界で何人かインターネット抽選で出場できるそうですよ。日本人選手も何人か当たっていたみたいです。もちろん予選を勝ち抜いて出ることに意味がありますが。
次号からまた皆生大会の思い出に戻ります!