競技運営の中心にいると実際のレース現場にでることは非常に少なくなってしまいます。
本部でいろいろな情報に対応することは重要な作業ではあるけれど、やはり何が起きているかは現場を知らなければならないのです。
というわけで口実を作って本部を抜け出し久々のランコース視察に出発。
トップ選手を追って皆生通りから産業道路、鉄鋼団地を抜け空港入口までくると小原工君がしんどそうな表情で走っている。順位でいえば15位くらいか・・初めてあんな苦しそうな小原君を見た。「最後までがんばれ!」と一言伝えその前の選手を追う。この位置くらいになると選手もまばらとなる。いつもトップを争う選手の姿が、点在している。目指すのは、トップを行くレースリーダーそして境港の折り返し。
みんな力強い走りをしている。「さすがだなぁ。」なんて感心していると白いTシャツを着た小柄な女の子がコース上をペタペタ走っているのが目に入ってきた。
どう見ても選手とは思えないし第一小原選手の遙か前だから多分順位的には7、8番目くらいのはず。どう考えても選手じゃない。紛らわしいからコース外を走ってもらうように注意しようと車を止めて近づく。しかしよく見ると長めのTシャツの下にナンバーカードらしきものが見える。「トライアスロンの選手?レースナンバー見えないからシャツの上にだしてね。」
20歳くらいで身長が150cmくらいの本当に小柄なかわいい女の子がどうして?よく見るとリレーの部レースナンバーがついている。余程スイム、バイクに実力者を揃えたのでしょう10位以内をキープして折り返し4キロ地点を走っていたのでした。しかし彼女の表情はここまで来られたのが不思議なくらい疲れ切った表情でとても折り返してゴールできるようには見えない。挫けそうな彼女を励ますために「最後までがんばれよ!仲間が待っているぞ!」と言った途端、声をあげて泣き出してしまった。本当にきつかったのとゴールで待つチームメイトへの想いが涙となったのだろう。私の言葉に頷きながら泣きながら走っていく後ろ姿を見送りながら「リレーってこんなこともおきるんだぁ」と不思議な感覚を覚えた。
でも泣きながらも一生懸命走っていく姿は、健気で可愛かったですよ。
ちなみに彼女はその後、ランを5時間40分で走り切りリレーの部で11位と好成績を残しています。
また後日談として分かったことなのですが実は彼女、私が行きつけのガソリンスタンドのスタッフの奥さんで結婚したばかりだったそうです。さらに驚いたのは、彼女は地元の高校で陸上の長距離選手をやっていて卒業後、実業団チームに所属していたこともある立派な長距離選手だったそうです。
来年は、泣かずに走ろうね!よく頑張りました!お疲れさま。