トライアスロンのスイム途中で、苦しいなと感じた時、呼吸をしても空気が入って来づらいと感じた時は、止まってウエットスーツの首を引っ張って、胸部に水を入れてください。
胸部の圧迫で呼吸がしにくくなったり、心臓に負担をかけている恐れがあります。
なぜ水を入れるか?
水を入れると、ウエットスーツと胸部の摩擦抵抗が減って、中で肋骨が動きやすくなりますので、胸への負担が一瞬減ります。
本来は、胸部を圧迫しにくいサイズの合ったウエットスーツを使用し、また古くて硬くなったものを使用しなければ、胸部圧迫は避けられます。
では、常時水が入った状態がいいかというとそうではありません。
あくまでも緊急時です。
腕もきついと、筋肉への負荷がかかり、また疲労物質が流れにくくなりますので、心肺機能により負担をかけます。
とはいえ、今更買い直すのも…という方が多いのが実情だと思います。
せめて違和感を感じたら、水を入れてみることをやってみてください。
動けなくなってからでは遅いので、早めの対処が必要です。
また、万が一の場合は、仰向けに浮くのも効果的です。
仰向けに浮くことができれば、気を失っていても自然呼吸はうつ伏せよりも確保しやすいです。
止まって仰向けで浮いて入れば、うつ伏せで止まっているよりもライフセーバーの方に発見してもらいやすいです。
私も、スイムセッションでは監視をしますが、立った状態で救助を求める時に、本当に溺れている人と、泳いでいる人の区別をするのがなかなか難しいです。
ましてや、本当に溺れている状態で、手を振るのはかなり難しいです。
手を挙げると、その分沈みやすくなりますので、よほど体力を残して手を振らないと無理です。
それよりは、早めに仰向けに浮いて休憩し、回復したら手を振ったりして救助を待ちましょう。
ただし、ウエットスーツを着た状態でも、仰向けになるのも多少なりとコツが要りますので、必ず練習をしておきましょう。
コツは、顔を上げずに、耳まで水を入れて、胸を反らすことです。
長年、エリートでレースを出場していますが、私もウエットスーツの胸部圧迫で呼吸ができない状態になったり、ウエットスーツを来ない状態でも、バトルで水を飲んでしまい、呼吸困難になったこともあります。
どちらも、ウエットスーツに水を入れたり、止まって休んだりして回復させています。
ちょっとした知識で、命を守ることができるかもしれません。
先日、トライアスロンのスイム事故で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
写真は、宮古島で開催したオープンウォーターセッションでの様子です。
(文章、写真とも西内洋行氏提供)